BLOG

楽園から

2012年02月25日

キラゲ村の様子

愛する皆さんこんにちは。

パプアニューギニアの旅を終え、無事に帰ってきました。福岡に帰ると少しずつ春の足音を感じています。

すばらしい旅でした。
せっかくですので、これから数回に分けて旅の話しを書きたいと思っています。まだ、日本の感覚に戻りきれていないようにも感じますが、そんな揺れる感覚もそのままに、ストーリーを綴ります。よかったら少しお付き合い下さい。

私は27歳のときにパプアニューギニアという国に私費留学していました。大学院を出た頃、1725点のオセアニア美術の所蔵品をもつ埼玉県の鶴ケ島市を紹介された事がきっかけで、さまざまな偶然のような必然のような、諏訪の先祖までを巻き込んだ縁をいただき、彼の国へ渡るチャンスを頂きました。私は今年38になりますから、ちょうど10年ほどがたったわけです。

当時、ブログというものはありませんでしたが、大学近郊の町ではネットも通じていたので、せっかくの体験を日本の友人にも伝えようと、日々小さなページをhtml言語でつくって更新していました。

いまはそのページはないのですが、私のパソコンに保存しています。

その中から、今回の旅の目的地であるキラゲ村を最後に訪れたときのページを転載します。

☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆

二週間が過ぎ去ろうとしている。2003年がやってきても村は何も変わらない。新年の祭りというのは特に無いのだ。シアシ島からレイに戻る船は週に一便しかない。明日には小型ボートでシアシに向かわなくては。二度訪れると村のみんなの対応もちがう。明日帰るよといっても、みな「ああ、またくるんだろ」という顔をしている。また来る。たしかにまた来ようと思っているが、日本にかえってしまったら、この村がどんなに遠いことだろう。そう思うと、たくましい男達の笑顔がいとおしくおもえた。

おしいと言えば、アンドリュー叔父さんの声である。彼は村でも唄にくわしいので、僕は何度か彼に話しをきいたり、実際に唄をうたってもらったりしたが、村人みなでうたうときより、アンドリュー叔父さんのソロの方が、胸に染みることがあった。アンドリュー叔父さんもスピーカーの音楽が苦手で、「アレの、なにがいいんだ?」と首をかしげている。そんな彼に、僕は村を去る前の晩、クンドゥーを抱えて、夕闇の浜辺でうたをうたってもらった。

うねる。ひびく。笑顔しかでてこない。いまも目を閉じれば聞くことが出来る。それはどこか、似ているのだ。九州の、日本の、まだ祭りがのこっている場面 で聞こえてくるだろう唄と、かつて海辺で聞こえたであろう音と。僕が生まれた福岡のなかで、特に伝統の中で育ったわけでも、祭りに詳しいわけでもない。しかし、そう言ったものから遠ざけられた生活をしていた中でも、折に触れて僕の魂に残っていたものと、ここで僕が出会っているものは呼応しあって、感じたことのない懐かしい未来を僕に見せてくれるのだ。

まさに、そう言う感覚を得るためにこの国に来たのかもしれない。僕らの過去をみつめるまなざしの先に、思っても見なかった未来をみいだしたい。

自然な生活へ、素朴な生き方へ、戻ろうというのは言いやすい。しかし、そのような生活をおくると言うことが、日本にいたら仮定の問いでしかない。この国に来て、その問いは現実のものとなった。
自然な生活というならば、人間の「より良く生きたい」という願望も自然なものだ。素朴と言うが、他人の苦しみを知らずにいるだけの素朴さはなんの価値もない。

目の前の世界には守りたく思う美しいものがある。そして、前進していくために僕らが働きかけていくだけの余地もまだある。しかし、時間がすすめばすすむだけ、僕らはより賢くなる事をせまられる。昔のままに生きることは出来ない。今と同じ事をいつまでも続けることでは、何も守れない。

10年後にキラゲに戻ったときに、僕に何が出来ているだろう。村を去るとき、ラジカセを抱えていた二十歳のマーティンに、「今度来たとき、おまえのシンシンがききたいな」と言った。彼はただ、笑っていた。

ガブリエルと僕は早朝ディンギーで村を離れた。遠く霞むまで皆で手をふり続けた。

ガブリエル、またいつか旅に出よう。

☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆

そうして、10年。
私はやはり村に戻りました。

自分の子供を得て、東京で大手の会社の広告制作の現場で働かせていただいたり、10回以上の個展を開かせていただいたり、さまざまな出会いと別れを得て、祖国は地球の歴史に残る文明の事故に見舞われました。

彼らは、僕が村の浜辺に着いた時どんな顔をしたのでしょう。

今日はこのへんで。

是非、次号もおたのしみください。

今日も宇宙に満ちる愛とともに。

ワールドピース

☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆
そんな旅のお土産話も聞けるかもしれない
八坂圭の東京アートレッスン
スケジュールとご予約はこちら
アートレッスンご予約