今回の旅の目的は、世界遺産のカジュラーホー寺院群があるところで40年間続いている伝統舞踊祭での美術展に招待作家として参加することでした。
伝統舞踊祭は政府主催で行われていて、そのなかで、毎年美術展も開催しているとのこと。限られた予算のなかで、工夫してなにか文化的なことを人々に提供したいという努力が伝わってくる催しでした。そのなかで、海外の作家を選び展示するのは今年はじめての企画だったそうで、いろいろと手探りの企画だったようです。
政府主催の割にはいろんなことが大雑把で、始まってから企画をたてたり、突然ステージで私がプレゼンテーションをすることになったり。それでも、地元の新聞に名前がのったりして、なんでもありなインドの気質の一面を感じることができました。
私の英語は、旅のなかで身につけたもので、アカデミックなものではありませんが、その時のプレゼンで話したことは、多くの人の心に届いたようで、私にとっても新しい経験でした。
ビザの申請や、チケットの手配など、12月ごろから準備をはじめ、夜中にたどり着いたデリー。そこから、夜行列車でカジュラーホーへ。インドの友人作家から、「夜行列車の運賃は政府が出すけれど、余裕があるなら、国内線で来た方がいいかもよ。」と脅かされていたので、すこしドキドキしましたが、三段ベッドの車両で、アーティスト仲間だったので、いい旅情が味わえました。
混沌とした国のなかで、いろんな国の仲間たちが助け合いながら目的地を目指す旅は、ワールドピースを具現化していると感じます。
私は、インドまで聖典をもとめて旅をした玄奘のことをなぜか思い出しながら、21世紀の小さな人間としてこの旅を味わっている自分を不思議に思いました。
肉体の旅と、精神の旅と。
日本にいるときと、本質的には同じです。
このとき私は気づいていませんでしたが、結局、この旅で私は精神の忘れ物をとりにいっていたのでした。
また、その話を書きとめていきます。
今日も読んでくださってありがとうございます。